大津市中2いじめ自殺事件は、2011年10月11日に滋賀県大津市内の当時中学2年生(13歳)だった男子生徒がいじめを苦に自宅マンションから飛び降り自殺した事件です。

いじめ防止対策推進法が誕生するきっかけとなった事件としても知られています。

この事件は、いじめの内容も酷いものですが、それ以上に担任教師、校長、教育委員会をはじめとした周りの大人の対応があまりにも酷く、メディアで大きく取り上げられ、大論争を巻き起こしました。

今回は大津市中2いじめ自殺事件で被害者が受けたいじめの内容、担任教師、校長、教育委員会、警察、加害者の親など周りの大人の当時大問題となった対応、自殺ではなく他殺だった可能性についてまとめてみました。

大津市中2いじめ自殺事件の内容

被害者が受けた壮絶ないじめの内容

この事件では、被害者は遺書を残していませんが、事件後に実施された全校生徒を対象としたアンケートにより、壮絶ないじめの具体的な内容が明らかになっています。

集団での暴行

被害者が受けていた暴力・暴行の内容です。

  • 廊下で思いきり、おなか、顔を殴ったり、跳び蹴り
  • イスに縛られてなぐる
  • 手足を鉢巻きで縛って羽交い締めにして殴ったり、口 を粘着テープで塞ぐ
  • 雀の死骸を口に入れほお張らせる
  • 蜂の死骸を食べさせられる
  • 睡眠薬を盛って服を脱がせて公園に放置
  • ミイラのように体中ぐるぐる巻きにされる

加害者が中学生だったから犯罪にならなかったものの、いじめの域を超えた立派な犯罪行為です。

恐喝・万引きの強要

被害者が受けていた恐喝の内容です。

  • 恐喝した上、親の銀行の暗証番号を聞き出し40万円引き出す
  • 万引きを強要されてしなかったら殴る蹴るの暴行

こちらも立派な犯罪行為です。

性的な虐め

被害者が受けていた性的な虐めの内容です。

  • 全裸にして射精を強要
  • 陰毛をライターであぶる
  • ペニスに辛子を塗り痛がる姿を笑う
  • 服を脱がして写真を撮影

大人だったら間違いなく強制わいせつ罪で即逮捕。

加害者の人間性を疑うような非常に陰湿な内容です。

自殺の強要・葬式ごっこ

テレビなどで大きく報道されたのがこの自殺の練習と葬式ごっこです。

  • 高い所に連れていかれたり、ロープで自殺の練習をさせられる
  • 自殺の練習と言って首を絞められた
  • 葬式ごっこをした

葬式ごっこは1986年に起きた中野・富士見中学いじめ自殺事件で、生徒だけではなく教師が参加していたことで大問題となりましたね。

これだけ壮絶ないじめを受けているのに誰も助けてくれないなんて、まさに生き地獄ではないでしょうか。

いじめと自殺の因果関係を否定?あまりにも酷すぎる大人の対応

担任教師は見て見ぬふり

おそらくこの事件で一番被害者の身近にいて、いじめ被害から守ることができた可能性があったにもかかわらず、するべきことをしなかったのは担任教師だと思います。

2012年7月に発売された週刊FLASHには、生徒の一人の証言が記載されていました。

少年が亡くなった日、担任が帰りの会で話をしたそうです。『じつは少年が泣きながら電話で相談してきたことがある』って。少年が家からキャッシュカードを持って来させられ、40万円を加害者に渡したという話だったそうです。『先生はそれに対して、何もしませんでした』と下を向いて言ったといいます。先生はいじめの存在を知らなかったって言っているようですが、それは嘘です

また、FRIDAY 2012年7月27日号では、自殺生徒のいじめ相談に対してこの教師は

「そんなんどうでもええから」「君が我慢すれば全て丸く収まる」

と発言していたと報道されています。

この教師は、加害者の男子生徒たちが度を越えた強さで被害者にプロレス技をかけているのを見ても、「やりすぎるなよ!」などと声をかける程度で、ほとんど見て見ぬ振りをしていたそうです。

また、女子生徒達が勇気を出して「男子生徒がいじめに遭っている」と訴えても何もしなかったとのこと。

この教師は、完全に教師失格とも言える態度で、被害者に絶望感を与えてしまったのではないでしょうか。

 

校長は泣きながら生徒に口止め

担任教師もひどいですが、事件を隠蔽しようとする学校側や教育委員会の態度もあまりにもひどいものでした。

事件が起きた皇子山中学校の校長は、校内放送で、泣きながら全校生徒に「報道されている事には嘘が含まれていて、”自殺の練習”は隠していたのではなく、もともと嘘だ」と発言したそうです。

その上で「変なことしゃべるなよ」と全校生徒に対して口止めを命令しています。

これに対して、当時、大津市教育委員会は「不確かなことを話さないように指導しているもので問題はない」としていたとのこと。

教育委員会はいじめと自殺の因果関係を否定

大津市教育委員会は全校生徒に対するアンケート調査で明らかになった「自殺の練習」について、加害者である生徒たちに確認もせず、たったの3週間で調査を打ち切っています。

当時、大津市教育委員会は記者会見で「いじめと自殺の因果関係を判断できない」と発言しています。

「毎日自殺の練習をさせられていた」という証言もあったにもかかわらず、皇子山中学校も大津市教育委員会は重大な事実と認識しながら、半年以上も隠蔽し続けたのです。

この隠蔽の事実が発覚した後、騒動が再燃していますが、その際も「伝聞などで事実確認ができなかった」「自殺といじめの因果関係は判断できない」という姿勢を変えない大津市教育委員会に対して全国から抗議が殺到しました。

警察は被害者の父親からの3度の被害届を受理せず

事件後、遺族は大津警察署に対して3度にわたり被害届を提出しましたが、警察側は「被害者本人が自殺しており存在していない」という理由で受理しませんでした。

しかし、この事実が報道された後、態度を一変。

被害者の父親は加害者の男子生徒3人に対して、暴行、恐喝、強要、窃盗、脅迫、器物損壊の6つの罪で刑事告訴しています。

加害者の親は「被害者はこちらだ!」

さらに、メディアを騒がせたひどい大人が加害者の一人の母親です。

この母親は事件後に開かれた緊急保護者会の際、校門前で自分の息子は悪くないとビラを配っていたそうです。

ビラの内容は、

息子の痛みをわかってやれなかったのはそちら(被害者の両親)のはず。うちの子が悪いというのは責任転嫁だ

というもの。

しかも緊急保護者会に出席し、

うちの子は仲よくプロレスごっこをしていただけなのに、犯人扱いされて学校に行けなくなった。うちの子が自殺したら、ここにいる保護者や先生の責任だ

と発言したそうです。

自分の子供のせいで一人の尊い命が奪われたというのに、この母親が気にしているのは「子供の将来に傷がついたら、どうしてくれる!」ということだけです。

「此の親にしてこの子あり」とは言いますが、残念すぎる親ですね。

大津市中2いじめ自殺事件は本当は他殺だった?

実はこの大津市中2いじめ自殺事件は、自殺ではなく他殺だったのではという説もあります。

この事件は、被害者が自殺する直前に加害者に対して「もう死ぬ」という内容のメールを送り、加害者側が「死ねばいいや」「早く死ね」などと返信して、その後、被害者が自ら命を絶ったと報道されています。

この事件では遺書が発見されていませんが、私は遺書がないことが疑問に思えてなりません。

これだけ壮絶ないじめを受けていて、担任教師にも被害を訴えていた被害者の男子生徒が遺書を残さずに自殺したことに非常に違和感を感じるのです。

実際、被害者の男子生徒は発見されたときに地面に仰向けに倒れていたそうですが、自分から飛び降りた場合、地面に仰向けに倒れる確率は極めて低いそうです。

また、飛び降りた屋上にスポーツバックが残されていましたが、なぜ自殺するのにスポーツバックを持っていったのかという点も謎のままです。

発見時に被害者が全身アザだらけだったこともあり、加害者たちが暴行している間に死亡したのを自殺にみせかけたのではという説もあります。

どちらにしても、加害者たちの壮絶ないじめがこの被害者を殺したことに変わりはないのですが。。。

大津市中2いじめ自殺事件の内容と大人の対応まとめ

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

今回は大津市中2いじめ自殺事件で被害者が受けたいじめの内容、担任教師、校長、教育委員会、警察、加害者の親など周りの大人の当時大問題となった対応、自殺ではなく他殺だった可能性についてまとめてみました。

いじめ防止対策推進法が誕生するきっかけとなったこの事件は、私たち大人に多くの教訓を与えてくれました。

日本の教育社会の問題を投げかけてくれた出来事として、私たち大人はこの事件をけして忘れてはいけないと思います。

【参考URL】

大津市中2いじめ自殺事件(wikipedia)

大津いじめ死関係者:担任教師と学校側の対応 主権在民研究会のブログ