携帯やスマホのGPS機能は家出・失踪人の捜索に使えるのは警察だけ?

GPS搭載の携帯スマホ-イメージ

「家出した娘の捜索するために携帯のGPS機能は使えないの?」

「家族が失踪してしまった!警察に捜索願いを出せば、本人が持っているスマホのGPSを手がかりに捜索してもらえるの?」

そんな疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか?

今回は、携帯やスマホのGPS機能の仕組みや、警察による家出人・失踪人捜索の携帯・スマホの活用、一般人が利用できるGPS機能を用いた追跡サービスなどについて、まとめてみました。

家出人・失踪人の位置情報は携帯やスマホのGPS機能で突き止められる?

スマホのGPS機能は位置情報をオフにしていれば使えないのでは?

現在はほとんどの人が、スマホまたはガラケーと呼ばれる従来型の携帯電話を持ち歩いています。

家族が家出したり、突然失踪したりして行方がわからない場合、本人が所持している携帯電話に搭載されているGPS機能を利用して、捜索できると便利ですよね。

ですが、一方ではGPS機能を悪用したストーカー事件なども発生しています。

一般的には、スマホの位置情報の設定をオフにすれば、他人がGPS機能を利用して、居場所を捜索することはできないとされています。

そのため、自分のプライバシーを守るために、スマホの位置情報をオフにしている方も多いようです。

携帯電話に搭載されているGPS機能を手がかりに、家出人・失踪人を捜索できるのは、本人が携帯やスマホの電源を入れていて、かつ位置情報をオンにしているという条件が揃った場合に限定されるというのが、一般的な常識かと思います。

家出・失踪した本人が携帯の電源を切っていても警察は捜索できる?

ですが、2014年にこの一般的な常識を覆す報道があり、話題になりました。

2014年1月に、横浜地検川崎支部から集団強姦や強盗などの容疑で逮捕された男が逃走した事件で、友人が容疑者に貸していた携帯電話の電波を手がかりにして、横浜市泉区の公園の雑木林にいることがわかり身柄を確保されたというニュースが報道されました。

このニュースについて、テレビ番組のコメンテーターである弁護士が、本人が携帯電話の電源を切っていたとしても、警察は携帯電話の場所を調べることができると発言したのです。

この発言について、

「電源の入っていない携帯でも、警察なら位置を把握することが可能って本当なの!?」

などとネット上で話題になりました。

警察が携帯やスマホの位置情報を手がかりに捜索できる仕組み

スマホや携帯電話の電源を入れていると、一定時間ごとに弱い電波を発信して付近の基地局に対して自分の端末の情報を送信しています。

基地局というのは、携帯電話の電波をキャッチしてその先の通信ネットワークにつなげる役割を持つ装置で、電柱、地下、ビルの屋上などに設置されています。

警察がスマホを手がかりに捜索することができたのは、容疑者が持っていたスマホがどこの基地局に対して電波を送っていたかを特定して、その場所付近を捜索したからだと思われます。

つまり、電源の入っていない携帯の位置がわかるということではなく、容疑者が見つかった時に携帯の電源を切っていたとしても、逃走中に一度は電源を入れていたのだと推測されます。

令状なしのGPS捜査は違法との最高裁判決が!

警察の捜査ではGPSが利用されることも多いようですが、2017年3月に、窃盗事件の上告審判決で最高裁が令状なしでのGPS捜査は違法だとする判決を出したことにより、状況が変わってきました。

この判決で最高裁は、GPSを使用した捜索について「新たな立法措置が望ましい」としています。

最高裁が事件捜査の判決で立法措置に言及するのは極めて異例なことだそうです。

この最高裁判決を受けて、警察庁は全国の警察本部に対してGPSを使用した捜査を控えるよう通達を出しています。

将来的には、GPS捜査を規制する法律が整備され、GPSの利用は一部の重大な犯罪の捜査のみに限定される可能性が高いのではないでしょうか。

携帯電話の微弱電波を利用した家出人・失踪人捜索の条件は?

特定のスマホがどこの基地局に対して電波を送っていたかという情報を持っているのは、スマホ・携帯電話の事業者です。

家族が家出・失踪したからという理由で、一般の人が問い合わせても、スマホ・携帯電話の事業者からこの情報を公開してもらえることはまずありません。

警察は、捜索活動に必要な場合は、携帯電話事業者に依頼し、この情報を捜索のために利用していました。

先ほどご紹介しました集団強姦や強盗などの容疑で逮捕された男が逃走した事件は、治安を守ることが使命の警察にとっては非常に優先順位が高い事件なので、スマホ・携帯電話の事業者に依頼して、容疑者が持っていたスマホから発信された電波の情報を捜索活動に利用したと思われます。

家出人・失踪人の捜索願いを警察に出した場合、誘拐事件などの犯罪などに巻き込まれている可能性が高いことを証明できれば、「特異行方不明者」として、積極的に捜索してもらうことができます。

その場合、携帯やスマホから発信された電波の情報を捜索活動に使用してもらえる可能性もありました。

(「特異行方不明者」の定義などについては、「【捜索願を出した時の警察の対応】未成年と成人では違いがある?」という記事の中でご紹介しています。)

しかし、先ほどご紹介しました最高裁の判決では

GPS捜査が今後も広く用いられ得る有力な捜査手法であるとすれば、その特質に着目して憲法、刑訴法の諸原則に適合する立法的な措置が講じられることが望ましい

とされていますので、今後、新たに制定される法律により大きく状況が変わる可能性もあります。

一般人が利用できるGPS機能を用いた追跡サービス

GPS機能を利用した携帯電話捜索サービス

一般人が利用できるGPS機能を用いた追跡サービスを知りたいという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

一般人が利用できるGPS機能を利用したサービスとしては、iphoneの「iPhoneを探す」が有名ですよね。

ただし、このサービスは事前に位置情報サービスと「iPhoneを探す」の設定が必要です。

また、「友達を探す」というサービスもありますが、こちらも事前に認証が必要となります。

携帯やスマホから発信される電波やGPS機能を利用した捜索サービスを提供しているスマホ・携帯電話の事業者もあります。

ソフトバンクの「紛失ケータイ捜索サービス」やNTTドコモの「ケータイお探しサービス」というサービスです。

あくまでおおよその位置情報となりますが、GPS搭載のスマホ・携帯の場合は、GPSの電波を使用してより精度の高い測位ができるそうです。

ソフトバンクの「紛失ケータイ捜索サービス」では、2016年4月から位置情報検索時に電源OFF・圏外だった場合は「最後の通信を行った位置」を伝えられるように機能強化されたとか。

ただし、やはりいずれのサービスも事前の申し込みが必要です。

家族間でGPS機能を用いた位置情報を共有できるアプリ

家族間でGPS機能を用いた位置情報を共有できるアプリもあります。

「Life360」は、GPS機能を利用して、大切な人がどこにいるのか、スマホでいつでも確認できる無料のアプリです。

メンバーの位置を地図上で確認したり、メンバーが特定の地点に着いたら通知したりする機能があります。

また、自分の身に何かあったなどの緊急時には、サークル内のメンバー全員に緊急通知を送ることができます。

災害時の安否確認や家族への連絡にも便利です。

あくまでも本人が同意の上で、本人のスマホにあらかじめインストールしておく必要がありますが、小さなお子様や、最近増えている認知症による家出の捜索などにも使えそうなアプリですね。

詳しく知りたい方は公式サイトをチェックしてみてください。

>>>GPS機能で位置情報の共有ができるアプリ「Life360」

本人に気づかれずに利用できるGPS追跡サービスは?

浮気調査や社員の素行調査などでは、本人に気づかれずに追跡する必要があります。

そのような場合に使用されるのが、リアルタイムGPS発信機と呼ばれるものです。

リアルタイムGPS発信機は、人口衛星により現在地を正確に割り出し、リアルタイムで位置情報を発信する小型のGPS端末です。

最高性能のGPSレンタル会社として知られる「位置情報サービス イチロク」など、GPS発信機をレンタルしている会社も存在し、探偵社に依頼する前の事前調査や認知症の母親の居場所の把握などを目的として、個人で利用する方も増えているようです。

本人の同意なしのGPS追跡は違法?

本人の同意を得ずにGPS発信機などで居場所を調査することに違法性はないのでしょうか?

他人による追跡行為はストーカー規制法違反の罪に問われる可能性がありますが、夫婦間で不貞行為の疑いがある場合のGPSによる追跡は罪に問われないという意見が多いようです。

弁護士ドットコムには、旦那の車にGPSをつけ尾行した事が旦那にバレてしまったという主婦から以下のような質問が投稿されていました。

興信所に旦那の浮気調査を依頼して、旦那の車にGPSをつけ尾行した事が旦那にバレ、旦那が興信所を訴えると言っています。
探偵が旦那の車にGPSをつけて尾行した事は罪になるのでしょうか?

引用元:弁護士ドットコム

これに対して、弁護士の先生は

おそらく,旦那さんは,警察のGPSを使って捜査について違法と判断した最高裁判決を念頭に話をしているのだと思います。
これは,捜査機関がGPSを使った捜査をすることを違法と評価したものであり,民間人がGPSを使った調査をすることまでを判断したものではないと思います。
そして,罪刑法定主義のもと,刑罰が科せられる犯罪となるためには,刑罰法規で予め定められていることが必要ですが,私の知識では,そのような刑罰法規はなかったように思います。
従って,GPSを使った調査が直ちに罪にあることはないと思います。

引用元:弁護士ドットコム

と回答しています。

法律専門家の間でも見解は分かれると思いますが、現時点では「夫婦間で不貞行為の疑いがある場合のGPS追跡に違法性はない」という意見が一般的かもしれません。

また、夫婦間で所有する車などは共有財産として扱われるため、車にGPSを取り付ける行為についても法律上問題ないそうです。

個人的には、夫婦間でも本人の同意なしの追跡はプライバシー侵害に該当するのではないかと思います。

最高裁判決では、GPS捜査を「個人の意思を制圧して憲法の保障する重要な法的利益を侵害するもの」としています。

夫婦間の不貞行為調査のために「憲法の保障する重要な法的利益」を侵害していいとは到底思えません。

また、合法だとしても、この例のように本人にバレた時にトラブルになる可能性は高いのではないでしょうか。

探偵に浮気調査を依頼する方は年々増えているようですが、後悔しないためにも本当に必要なのか事前にじっくり考えることも大切かと思います。

参考記事:浮気調査はするべき?後悔しないためのポイントを結婚歴22年の主婦が解説

家出・失踪時の捜索と携帯・スマホのGPS機能まとめ

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

今回は、携帯やスマホのGPS機能の仕組みや、警察による家出人・失踪人捜索の携帯・スマホの活用、一般人が利用できるGPS機能を用いた追跡サービスなどについて、ご紹介しました。

当サイトで、大手探偵事務所の原一探偵事務所と総合探偵社MRの行方不明捜索を専門としている部署で取材をさせていただいた際、警察ができるのはほとんどの場合、スマホから発信された電波の情報を出すまでだというお話を伺いました。

実際、2017年11月に神奈川県座間市で起きた9名の死体遺棄事件でも、9名全員の捜索願(行方不明者届)が出されていて、「特異行方不明者」に判定されていた方に関してはGPSを使用した捜索も行われていたそうですが、警察は事件を未然に防ぐことができませんでした。

警察の行方不明者捜索活動には予算や人員に限界がありますが、行方不明捜索を得意とする探偵事務所では、警察からの情報を元に経験豊富なプロがチームを組んで捜索活動を行い、無事発見している実績が数多くあります。

ただし、行方不明者の捜索は探偵業の中でも難易度が高く、得意としている探偵事務所は少ないので、探偵事務所に依頼する場合は慎重に選ぶ必要があります。

当サイトの「行方不明者捜索のプロとして本当に信頼できる探偵の選び方」でご紹介した行方不明者捜索のプロとして信頼できる探偵事務所を選ぶための客観的な条件は以下の5つです。

【行方不明者捜索のプロとして信頼できる探偵事務所の5つの条件】

  1. 公安委員会から適正な業務を行っていることを認められたという証明である「探偵業届出証明番号」があること
    悪徳な探偵事務所を避けるために必須
  2. 家出人・失踪人捜索を得意としていること
  3. 全国対応していること
  4. 契約前に明確な見積もりをもらえること
  5. 契約前に無料相談を受けられること

こちらの記事では、この5つの条件を充たす探偵事務所の中から、行方不明者の探索で豊富な実績を持つ探偵事務所を厳選してご紹介していますので、行方不明者の捜索を依頼できる探偵事務所を探している方は参考にしてみてください。

チェック⇒行方不明者捜索のプロによる無料相談が受けられる探偵事務所一覧

探偵社を利用するのは初めてだし、なんだか不安という方には、全国の優良な探偵事務所の中から一人ひとりの目的や予算に合わせて、最適な探偵社を選んでもらえる「タントくん」もおすすめです。

「夫が家出した原因は浮気だと思うけど確証がない」、「探偵に依頼するべきかどうか悩んでいる」という場合でも適切なアドバイスを受けられます。

「タントくん」のサービスについて詳しく知りたい方は公式サイトをチェックしてみてください。

チェック⇒「タントくん」公式サイトはこちら

 

【参考URL】

GPS捜査の違法性に関する最高裁の判例(PDF)

旦那の車にGPSをつけ尾行した事の違法性(弁護士ドットコム)

 

行方不明者の捜索方法・家出・失踪人の探し方・無料相談ガイドの目次