捜索願を拒否するための不受理届・免許更新と捜索願の関係

「DVを受けている旦那から逃げてきたけど、捜索願を出された場合に拒否することはできる?」

「親から虐待を受けて家出したけど、未成年の場合は捜索願が出されて見つかったら強制的に家に連れ戻されてしまうの?」

「捜索願が出されたら、免許更新の時に見つかってしまうって本当?」

そんな疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか?

今回は、捜索願が出されて捜索対象となっている本人が居場所を通知することを拒否できる不受理届という制度や捜索願と運転免許証更新の関係などについてご紹介します。

捜索願を本人が拒否・取り下げできる不受理届とは?

捜索願いの拒否・不受理-イメージ

不受理届が必要となった歴史的背景

1976年に警視庁が定めた「家出人発見活動要綱」では、捜索願を正式に提出する資格があるのは、親族、後見人、施設管理者に限定されていました。

それ以外の人からは原則として行方不明者の捜索願は受理されず、事件や事故に巻き込まれた可能性があると判断された場合のみ、現場の判断により捜索が行われていました。

その規定から33年が経過した2009年、核家族化や単身者の増加などによる生活形態の実態を踏まえて規定を見直す必要があるとの警視庁の判断により、親族以外の恋人や知人、勤務先の関係者など行方不明者本人と密接な関係を持つ者も捜索願を提出できるように改定を行いました。

しかし、その改定により、その制度を悪用して、ドメスティックバイオレンス(DV)やストーカーなどの加害者が、逃げ出して行方不明になった被害者を捜すために行方不明者届(捜索願)を出すケースが相次ぎ、社会的な問題となりました。

不受理届の目的

そこで、行方不明者届(捜索願)の悪用を防ぎ、DVやストーカーなどの被害者を守ることを目的として、2012年に奈良県警は「行方不明者不受理リスト」と呼ばれる新しいシステムを開発しました。

「行方不明者不受理リスト」は運用を本格的に開始してから10カ月間で約120人の被害者を登録したそうです。

それだけ、捜索願が出されても拒否したい人が多かったということですね。

その後、奈良県警が開発した「行方不明者不受理リスト」の制度について、全国の県警から問い合わせが相次いだそうです。

現在は、捜索願が出された本人をDVやストーカーなどの被害から守ることを目的として、捜索願を出した人に行方を知らせることを拒否することが可能となる行方不明者届(捜索願)の不受理届が全国的に普及しています。

国家公安委員会が定める「行方不明者発見活動に関する規則」の第四章「行方不明者の発見時の措置」にも

第二十六条  受理署長は、行方不明者が発見されたとき又はその死亡が確認されたときは、速やかに、届出人に対して、発見又は死亡確認の日時、場所、状況その他の必要な事項を通知しなければならない。ただし、当該行方不明者の意思その他の事情を考慮して適当と認めるときは、通知をしないこと又は通知をする事項を限ることができる。
2  前項本文の規定にかかわらず、当該行方不明者が、次の各号のいずれかに掲げる場合に該当すると認めるときは、当該行方不明者の同意がある場合を除き、届出人に対して、前項に規定する通知をしないものとする。
一  届出人から、ストーカー行為等の規制等に関する法律 (平成十二年法律第八十一号)第二条第一項 に規定するつきまとい等又は同条第二項 に規定するストーカー行為をされていた場合
二  届出人から、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律 (平成十三年法律第三十一号)第一条第一項 に規定する配偶者からの暴力又は同法第二十八条の二 に規定する関係にある相手からの暴力を受けていた場合

引用元:国家公安委員会「行方不明者発見活動に関する規則」

と定められています。

捜索願が出された行方不明者本人の意思に反して、捜索願を出した人に本人の居場所を知らされるという心配はないと考えてよさそうですね。

捜索願が出されると 運転免許証の更新・住所変更で見つかってしまう?

運転免許証の更新-イメージ

運転免許証を管理しているのは公安委員会なので、免許の更新や住所変更の手続きをした際に、捜索願が出されていることはわかってしまいます。

ただし、先ほどご紹介しました「行方不明者発見活動に関する規則」により、行方不明者本人の意思に反して、捜索願を出した人に本人の居場所を通知することはないと定められているので、捜索願が出された行方不明者本人の意思を無視して、連れ戻されたりすることは基本的にはないはずです。

未成年の行方不明者は免許更新のときに家に連れ戻される?

未成年の方が捜索願を出されていた場合、免許更新の時に本人の意思を無視して、家族に連絡されてしまうのでしょうか?

大手Q&Aサイト、「教えて!goo」や「Yahoo!知恵袋」には、捜索願を出されていた未成年の方が家出中に免許更新に行って、家に連れ戻されたという経験談が投稿されていました。

大学時代の友人が家出して失踪してましたが、免許更新の時に見つかって実家に連れ戻されていましたよ。

引用元:教えて!goo

という大学時代に家出していた友人についての経験談や、

今現在はどうか知りませんが・・・
遥か昔、若かりし頃(未成年)
家出をしてまして家族から捜索願が出されていました。
試験場へ免許の更新に行った所
別室に連れて行かれ、そのまま地元の警察署に移送され
家族の迎えが来るまで警察署で保護されていました。

引用元:Yahoo!知恵袋

という未成年の時に家出していて免許更新の時に保護されたという経験談がありました。

未成年でも虐待を受けている場合などは捜索願の強制力は認められない

未成年だからといって、行方不明者本人の意思を無視して、連れ戻されるのは納得がいかないという方もいらっしゃいますよね。

未成年だとしても親から虐待を受けているなど正当な理由がある場合は、捜索願が出されていても、本人の意思を無視して家族に居場所を知らせることを拒否することはできます。

親から虐待を受けて家出しているという方は、厚生労働省が公開している児童相談所全国共通ダイヤルに電話をして相談してみてください。

厚生労働省 児童相談所全国共通ダイヤル

その際に、免許更新の予定がある場合、どのようにすれば家族に居場所を知らせることを拒否できるかについても相談してみることをおすすめします。

相談をした人の個人情報や相談内容に関する秘密は守られます。

厚生労働省が虐待を受けている未成年の方を守るために設置した相談ダイヤルです。

虐待を受けて家出したので、捜索願を出されても親に居場所を知られたくないという方は利用してみてください。

捜索願を拒否するための不受理届・免許更新と捜索願の関係まとめ

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

今回は、捜索願が出されて捜索対象となっている本人が居場所を通知することを拒否できる不受理届という制度や捜索願と運転免許証更新の関係などをご紹介しました。

現在は、捜索願が出されていても行方不明者本人の意思を無視して、本人の居場所を通知されることは原則としてないと考えてよいと思います。

未成年の方で親から虐待を受けて家出しているという方は、確実に居場所を知られないようにするためにも、厚生労働省が設置している児童相談所全国共通ダイヤルを利用することをおすすめします。

【参考サイト】

行方不明者発見活動に関する規則

 

行方不明者の捜索方法・家出・失踪人の探し方・無料相談ガイドの目次