警察に捜索願(行方不明者届)を提出するタイミング

「捜索願はいつ出すべき?」

「捜索願を警察に提出するベストなタイミングは、行方不明になってからどれくらい経ってから?」

家族が行方不明になった時に、そのような疑問を持つ方も多いかと思います。

今回は、警察に行方不明者届(旧捜索願)を提出する適切なタイミングについて、解説します。

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【この記事の監修者】ヨシキ
某県の警察本部生活安全課などで警察業務を約6年経験した元警察官。
現役時代に行方不明者に関する相談を多々受けてきた経験を生かし、行方不明者の発見に少しでも力添えができればという思いから記事を監修しています。

 

行方不明者届(旧捜索願)の届け出は早い方がいい

家族が突然行方不明になって連絡が取れなくなった時は、可能な限り早いタイミングで警察に行方不明者届(旧捜索願)を出すことが大切です。

家族が帰ってくるはずの時間に帰ってこなくて、連絡も取れない状況になった時、「心配だけど、警察に捜索願を出すのは大袈裟かな」と躊躇される方もいらっしゃるかと思います。

特に、行方不明になった家族が成人の場合、「そのうち戻ってくるかもしれないし、とりあえず2~3日くらいは様子を見てみようかな」と思うのは普通のことかもしれません。

中には行方不明になった本人と一週間以上連絡がとれなくても捜索願を出さないという方もいらっしゃるようです。

ケンカなどが原因で行方不明になったご家族が実家や友達の家に行っているなら問題ないかもしれませんが、行き先が不明な場合は放置するのは危険です。

できるだけ早く、警察の生活安全課に行方不明届を出しましょう。

警察に行方不明届を出すために必要なものや届け出先がわからない方は、こちらの記事を参考にしてください。

参考記事:捜索願の警察への出し方と届け先

監修者
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私の経験からも、数日間様子を見てから捜索願を提出した方より、すぐに捜索願を出した方のほうが発見されたケースが多かったです。

行方不明者届を早く出すべき理由

8日経過すると発見率が激減

早いタイミングで行方不明者届を出すべき理由は、早ければ早いほど、早期に発見される可能性が高くなるからです。

こちらは、警察庁が公表している『令和3年における行方不明者の状況』の「行方不明者届受理から所在確認等までの期間」を元に作成したグラフです。

行方不明者届受理から所在確認等までの期間

グラフを見るとわかる通り、受理当日に発見された行方不明者が 33,650人であるのに対し、8日~14日後は 1,966人と、 約5.8%まで激減しています。

参考記事:捜索願いを出した場合の発見率・見つかる確率が大きく変わる要因は?

時間の経過とともに高まるリスク

時間が経つにつれて、以下のようなリスクが高くなります。

  • 遠くへ移動してしまい、発見が困難になる
  • 疲労により思考力・判断力が低下して冷静な判断ができなくなる
  • お金に困って安全な場所で寝泊まりできなくなり、事件などに巻き込まれる

このように、時間の経過とともに、さまざまなリスクが高まります。

監修者
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警察が捜索する中で防犯カメラを確認する場合もありますが、防犯カメラの録画の保存期間が2週間程度しかないものがほとんどです。

警察の行方不明者届の受付時間は24時間

警察では24時間体制で行方不明者届を受け付けています

夜間は署の大きさにもよりますが、生活安全課の当番員がいるので届け出を受理してもらえます。

以下のものを揃えて、最寄りの警察署の生活安全課に行きましょう。

  • 届出を行う人の身分証明書(免許証、パスポート等)
  • 印鑑
  • 行方不明者の写真

行方不明者届が出せる人は、以前は親族、後見人、施設管理者など、ごく一部の身内に限定されていましたが、現在は行方不明者の同居者や”社会生活において密接な関係を有する者”と範囲が広がっています。

参考記事:家族以外で警察に捜索願を出せる人は?

ただし、行方不明になった本人が捜索願の不受理届を出している場合は、捜索願は受け付けてもらえません。

参考記事:捜索願を捜索対象の本人が拒否するための不受理届

捜索願を提出すればすぐに探してもらえる?

警察に捜索願いを出せば、すぐに探してもらえるのかというと残念ながらそういうわけではありません。

「行方不明者届」が提出されると、「行方不明者発見活動に関する規則」に基づき、「特異行方不明者」か「一般行方不明者」のどちらかに分類されます。

参考記事:【捜索願を出した時の警察の対応】未成年と成人では違いがある?

事件性がある場合は「特異行方不明者」に分類され、警察に積極的に捜索してもらえるケースもあります。

行方不明者発見活動に関する規則の第2条2項には以下のように定められています。

四 遺書があること、平素の言動その他の事情に照らして、自殺のおそれがある者
五 精神障害の状態にあること、危険物を携帯していることその他の事情に照らして、自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがある者
六 病人、高齢者、年少者その他の者であって、自救能力がないことにより、その生命又は身体に危険が生じるおそれがあるもの

引用元:行方不明者発見活動に関する規則

本人がうつ病や認知症などの患者の場合は、「特異行方不明者」に分類される可能性が高いので、必ず警察でその旨を伝えましょう。

こちらの記事では、双極性障害Ⅱ型の患者で車で死に場所を探していたときに警察に発見されたという方と認知症の母親を警察に発見してもらったという方の体験談をご紹介しています。

参考記事:【うつ病や認知症の家族の捜索願(行方不明者届)】警察に捜索してもらえる?

しかし、「一般行方不明者」に分類された場合は、積極的に捜索活動を行ってもらうことができません。

監修者
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過去に自殺未遂を行った者や「死にたい」などの言動があった者も、特異行方不明者に分類する場合もあるので、必ずその旨を警察に伝えましょう。

まとめ

今回は、警察に行方不明者届(旧捜索願)を提出する適切なタイミングについて、まとめてみました。

家族が行方不明になった時、できるだけ早いタイミングで警察に捜索願を出すことは大切ですが、捜索願を出しても、「一般行方不明者」と判断されてしまうと積極的な捜索が行われないため、残念ながら見つかる可能性は非常に低いです。

また、「特異行方不明者」に分類された場合でも警察が行方不明者捜索よりも優先順位が高い仕事を抱えている場合、後回しにされる可能性もあります。

2017年11月に世間を震撼させた神奈川県座間市で起きた9名の死体遺棄事件でも、9名中6名が「特異行方不明者」に判定されていたにも関わらず、警察による捜索活動に不十分な点があったことから、警察の行方不明者捜索活動には予算や人員不足による限界があることが指摘されています。

警察業務は多岐に渡っており、日々の事件処理や生活相談などの対応に迫られているため、現在起きている事件への対応などが優先されがちです。

大切な家族を確実に探し出すためには、行方不明者捜索を得意とする信頼できる探偵事務所に相談することをおすすめします。

当サイトの「信頼できる探偵の選び方」では、人探しのプロとして本当に信頼できる探偵事務所を選ぶための5つの客観的な条件をご紹介しています。

また、こちらの記事では、5つの客観的な条件を充たす探偵事務所の中から、家出人・失踪人捜索を得意としていて、公式サイトから無料相談が受けられる探偵事務所を厳選してご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

家出人・失踪人捜索のプロによる無料相談が受けられる探偵事務所一覧

監修者
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元警察官として、大切な方を探すためには、警察以外の力を借りる必要があると思います。行方不明者の身近の方や信頼できる探偵事務所に相談することをおすすめします。

参考URL:令和3年における行方不明者の状況

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