行方不明の相続人の捜索方法と失踪した親族がいる場合の遺産分割手続き

「父親が亡くなって実家を売却したいけど、相続人の一人である兄が3年ほど前に失踪して行方不明」

「亡くなった父の遺産分割の手続きのために、父の前妻との間の子供と連絡がとりたいけど、捜索方法がわからない」

このように相続人となっている家族・親族の中に行方不明の人がいて問題となることも多いようです。

今回は、相続人の中に行方不明の人がいる場合の捜索方法や失踪した親族がいる場合の遺産分割手続きについて、まとめてみました。

遺産分割協議とは

遺産相続-イメージ

故人が残した財産は、遺言が残されていた場合は遺言書に記載されている内容に従って相続が行われますが、遺言書が残されていなかった場合、相続財産をどのように分配するかについて、相続人全員で話し合って決める必要があります。

この話し合いのことを「遺産分割協議」と言います。

「遺産分割協議」で相続人全員が合意できなかった場合は、家庭裁判所で遺産分割をすることになります。

行方不明の相続人を除いた遺産分割協議は法律上無効

遺産分割協議は相続人全員の合意が必要なため、相続人の中に行方不明者がいると遺産分割をスムーズに進めることができません。

失踪したまま行方がわからない相続人には、相続の権利を与える必要はないと考える方もいらっしゃるかもしれません。

ですが、行方不明だからという理由で、その相続人の権利を無視することは認められていません。

行方不明の相続人を除いたメンバーで遺産分割協議を行った場合、その決定は法律上無効となります。

行方不明の相続人の捜索方法

「戸籍の附票」で現在の住民票の所在地を確認する

行方不明の相続人の捜索方法として、まずするべきことは「戸籍の附票」を取り寄せることです。

行方不明の相続人の戸籍謄本等を取り寄せて、本籍地を管轄する市区町村役場などに「戸籍の附票」という書類を請求します。

「戸籍の附票」は本籍地の役所で管理されていて、その人の住所の履歴が記載されており、最後に記載されている住所が、現在の住民票の所在地ということになります。

「戸籍の附票」は本人もしくは同一戸籍の方及び直系親族の方は請求することができます。

住民票が置かれている住所がわかったら、その住所を直接訪ねたり、手紙を送ったりして連絡をとってみましょう。

現在の住民票の所在地に本人がいない場合

住民票が置かれている住所に手紙を送っても宛先不明で返送されてきてしまったなど、住民票の所在地にも本人がいなくて、依然として行方不明という場合もあります。

その場合は行方不明者の所在調査を得意としている探偵事務所に依頼することが一番確実です。

失踪してから何年も経っている、行方を探す手がかりが少ないなど難解なケースの場合、「家出人・失踪人捜索のプロとして信頼できる探偵事務所一覧」の中でも、数々の難しい行方不明調査の成功実績を持つ原一探偵事務所が一番おすすめです。

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相続問題

失踪して行方不明の親族がいる場合の遺産分割手続き

相続人が行方不明のまま遺産分割手続きを進める方法もあります。

行方不明の相続人が失踪してから7年以上経過している場合は失踪宣告、そうではない場合は不在者財産管理人の選任という方法をとることができます。

失踪して7年以上行方不明の親族に対する「失踪宣告」

失踪宣告とは,生死不明の者に対して,法律上死亡したものとみなす効果を生じさせる制度で、以下のいずれかに該当する場合のみ認められます。

  • 生死不明になってから7年以上経過(普通失踪)
  • 船舶事故や震災等に遭い生死不明になてから1年以上経過(危難失踪)

失踪宣告は、不在者の従来の住所地または居所地の家庭裁判所で申立てを行います。

失踪宣告には、以下の書類が必要です。

(1) 失踪宣告の申立書

(2) 標準的な申立添付書類

  • 不在者(失踪者)の戸籍謄本(全部事項証明書)
  • 不在者(失踪者)の戸籍附票
  • 失踪を証する資料
  • 申立人の利害関係を証する資料(親族関係であれば戸籍謄本(全部事項証明書))

引用元:裁判所公式サイト「失踪宣告」

失踪宣告が認められた場合、もし行方不明者に子供がいれば、代襲相続により、その子供が相続人となり、遺産分割協議に参加することになります。

「失踪宣告」の条件に該当しない行方不明の親族に対する「不在者財産管理人の選任」

失踪宣告の条件に該当しない行方不明の親族については、家庭裁判所に「不在者財産管理人の選任」の申立てをするという方法もあります。

「不在者財産管理人」という制度は民放第25条で定められた規定で、行方不明者の代理として財産管理を行う人を選任する手続きです。

遺産として相続した財産もその対象となります。

「不在者財産管理人の選任」は、あくまでも不在者の財産を管理する人を選ぶための手続きなので、財産を管理するだけなので遺産分割協議に参加したり、協議に同意するといった行為を行うことはできません。

「不在者財産管理人の選任」の申立てに加えて、「不在者財産管理人の権限外行為許可」の手続きを行うことにより、不在者財産管理人が遺産分割協議に参加することができるようになります。

「不在者財産管理人の選任」には以下の書類が必要です。

(1) 申立書

(2) 標準的な申立添付書類

  • 不在者の戸籍謄本(全部事項証明書)
  • 不在者の戸籍附票
  • 財産管理人候補者の住民票又は戸籍附票
  • 不在の事実を証する資料
  • 不在者の財産に関する資料(不動産登記事項証明書,預貯金及び有価証券の残高が分かる書類(通帳写し,残高証明書等)等)
  • 利害関係人からの申立ての場合,利害関係を証する資料(戸籍謄本(全部事項証明書),賃貸借契約書写し,金銭消費貸借契約書写し等)

引用元:裁判所公式サイト「不在者財産管理人の選任」

「不在の事実を証する資料」については、行方不明の相続人の住民票の現住所に届かずに宛先不明で返送された手紙などが利用できるようです。

行方不明の親族がいる場合の遺産分割手続きのデメリット

相続人が行方不明のまま遺産分割手続きを進める方法には、デメリットもあります。

それは手続きに手間と時間がかかるということです。

「不在者財産管理人の選任」は申立てをしてから約1~3ヶ月、失踪宣告については約1年もかかると言われています。

遺産分割協議書は、相続税の申告期限(故人が亡くなった翌日から10ヶ月)までに作成しないと、原則として相続税の優遇措置が受けられなくなりますが、失踪宣告は約1年もかかるため、間に合わなくなってしまいます。

また、不在者財産管理人が取得した不在者の財産については、不在者が現れない場合、いずれ失踪宣告の申立て等の手続きを行い、失踪宣告の確定後に不在者の相続人に分配したりなどといった手続きが必要となります。

行方不明の相続人の捜索方法と失踪した親族がいる場合の遺産分割手続きまとめ

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

今回は、相続人の中に行方不明の人がいる場合の捜索方法や失踪した親族がいる場合の遺産分割手続きについて、まとめてみました。

相続人となっている家族・親族の中に行方不明の人がいる場合、遺産分割協議書を作成するための手続きも煩雑になります。

スムーズに進めるためには、行方不明の相続人を捜索するのが一番かもしれません。