警察へ捜索願を出したいけど、どうやって出せばいいのかわからない、息子・娘が家出した時にどこの警察署に行けばいいのかわからないという方もいらっしゃるのではないでしょうか?

この記事では家出人、失踪人の行方不明者届(旧・捜索願)の提出方法と届け先の警察署について、説明します。

家出・失踪した家族の捜索願の提出方法と届け先

行方不明者届(旧・捜索願)とは?

捜索願い届け出-イメージ

捜索願の正式名称は「行方不明者届」

家族が失踪して連絡がとれなくなってしまった時に警察に提出する書類は一般的に「捜索願」と呼ばれています。

「捜索願」の正式な名称は、以前は「家出人捜索願」でしたが、2010年4月1日に施行された「行方不明者発見活動に関する規則」により、「行方不明者届」という名称に改定されました。

家出や失踪して行方がわからない人を意味する「家出人」という用語も、「行方不明者」という呼び方に変更されています。

家族が家出したり、失踪したりして、生活の本拠を離れていて行方がわからないと判断したら、「行方不明者届」を警察に届け出ることができます

特異行方不明者と一般行方不明者

「行方不明者」には、特異行方不明者と一般行方不明者という2種類の区分があります。

「行方不明者届」が届けられると、「行方不明者発見活動に関する規則」に基づき、警察が特異行方不明者か一般行方不明者かを判断します

特異行方不明者の定義は以下のとおりです。

・ 殺人誘拐等の犯罪に巻き込まれ,生命身体に危険が生じるおそれがある者
・ 少年の福祉を害する犯罪の被害者になるおそれがある者
・ 水難,交通事故など,生命にかかわる事故にあっているおそれがある者
・ 自殺のおそれがある者
・ 精神障害や危険物を持っているなど,自傷や他傷等のおそれがある者
・ 病気,高齢,年少などにより,自力救済でできず,生命身体に危険が生じるおそれがある者

(引用元:行方不明者発見活動に関する規則)

つまり、家出や失踪後に事件に巻き込まれた可能性があったり、自殺する可能性があったりする行方不明者ということです。

行方不明者届(旧・捜索願)の提出方法

行方不明者届の提出先の警察署

行方不明者届(捜索願)をどこの警察署に届け出を行えばよいかわからないという方もいらっしゃるかもしれません。

行方不明者届は、以下の警察署に届けることができます。

  • 行方不明者の行方不明時の住所又は居所を管轄する警察署(最寄りの警察署)
  • 行方不明者が行方不明になった場所を管轄する警察署
  • 届出をされる方の住所若しくは居所を管轄する警察署

行方不明者届(旧・捜索願)の提出に必要なもの

行方不明者届(捜索願)を警察に提出する際には以下のものが必要です。

  • 届出を行う人の身分証明書(免許証、パスポート等)
  • 印鑑
  • 行方不明者の写真

また、以下の内容について確認されますので、事前にしっかりまとめておくとよいでしょう。

  • 行方不明者の氏名、生年月日、本籍、血液型
  • 行方不明者の身長、体格、髪形、顔立ちや体つきの特徴
  • 行方不明時の服装や所持品
  • 行方がわからなくなった日時と場所
  • 行方不明となった原因や動機など
  • 行方不明者の発見の手がかりとなる情報

写真は体格がわかる全身写真と顔立ちがわかる顔の特徴がわかアップ写真の両方があると理想的です。

なるべく近い時期に撮影したものがよいですが、見つからない場合は古い写真でもかまいません。

これらの情報は、行方不明者届を受理した警察署により、コンピュータ入力され、全国の警察署で情報共有されます。

捜索願の受付時間は24時間

警察の生活安全課では、行方不明者届を24時間体制で受け付けています。

捜索願を出すタイミングがわからないという方もいらっしゃるようですが、家族が行方不明になったことに気づいた場合は速やかに届け出を出しましょう。

参考記事:捜索願はいつ出すべき?捜索願を出すのに最適なタイミングとは?

警視庁の公式サイトでも、ご家族等が行方不明になられた場合、すぐに110番をするか警察署に届出をするよう呼び掛けています。

参考URL:行方不明者相談のご案内(警視庁 生活安全総務課公式サイト)

行方不明者届を提出できる人

通常は、家出・失踪した本人の家族が行方不明者届(捜索願)を出すことになることがほとんどだと思いますが、実は家族以外でも行方不明者届を出すことはできます。

行方不明者届(捜索願)を出すことができるのは、以下のいずれかに該当する方です。

  • 親権者、配偶者、後見人など親族や監護者
  • 行方不明者の福祉に関する事務に従事する者
  • 同居者、雇主その他の当該行方不明者と社会生活において密接な関係を有する者

「密接な関係」については、警察の判断となりますが、万一、死亡していた場合に遺体を引き取れるような関係か、つまり「家族」に近い存在かということが基準になるようです。

一般的な会社が、社員が家出・失踪して行方不明だから行方不明者届を出したとしても受理されないケースが多いようです。

参考記事:家族以外で警察に捜索願を出せる人は?同棲相手、会社の同僚でも大丈夫?

捜索願を出したのに警察が行方不明者を探してくれない?

警察が家出人を探してくれるのは「特異行方不明者」の場合のみ

家族が家出して行方がわからなくても、「警察に捜索願を出しておけば、警察が捜索してくれるから、とりあえず安心」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、残念ながら、それは間違いです。

「行方不明者届」が届けられると、警察は、「行方不明者発見活動に関する規則」の定義に基づき、その行方不明者が「特異行方不明者」か「一般行方不明者」かを判断します。

警察が積極的に探してくれるのは、事件性がある、もしくは命の危険があるとされる「特異行方不明者」のみです。

事件性が高い場合は、公開捜査に踏み切る場合もありますが、重大な事件の場合に限られます。

また、現場に残された遺留品を鑑識にまわす鑑識捜査が行われるケースもありますが、これは重大な事件で既に時遅しという場合になります。

参考記事:【捜索願を出した時の警察の対応】未成年と成人では違いがある?

警察が家出人を探してくれない理由

「特異行方不明者」に分類された場合でも、誘拐などの犯罪に巻き込まれた可能性が高いなどの事件性がなければ、警察が積極的に捜索することはほとんどありません。

それは警察という組織の目的が国の治安を守ることにあるためです。

「一般行方不明者」と判断された場合は、行方不明者の情報はコンピュータ入力され、全国の警察署で警察官が日常に行う巡回連絡、少年補導、犯罪捜査、その他の活動の中で発見に努めることとされていますが、積極的な捜査は期待できません。

積極的な捜索をしてもらえないため、家出したご家族が発見される可能性はかなり低いです。

しかも、発見された場合でも、未成年者や痴呆老人など法律に基づいた保護の必要性が認められない場合は、保護してもらうこともできません。

「捜索願を出したのに警察が動いてくれない」という方もいらっしゃいますが、法律で定められた範囲内でしか捜索活動ができないので、しかたのないことなのです。

捜索願が受理されない場合もある

家出・失踪して行方不明になった本人が事前に「不受理届」を提出していた場合は、「行方不明者届」が届けられても受理されません。

これは、DV・家庭内暴力の被害者などを守ることなどを主な目的とした措置のようです。

特別な事情がない場合、あくまでも家出・失踪した本人の意思が尊重されるということなのでしょう。

参考記事:【捜索願の不受理届】捜索対象の本人が拒否・取り下げすることは可能?

家出・失踪の捜索願の出し方と届け先まとめ

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

今回は家出人、失踪人の行方不明者届(旧・捜索願)の提出方法と届け先の警察署について、説明しました。

家族が家出・失踪して行方がわからないときに、警察に捜索願を出すことは大切ですが、捜索願を出したとしても、「一般行方不明者」と判断されてしまうと積極的な捜索が行われないため、残念ながら見つかる可能性は非常に低いです。

大切な家族を確実に探し出すためには、信頼できるプロに相談することをおすすめします。

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また、こちらの記事では、5つの客観的な条件を充たしており、家出人・失踪人捜索のプロによる無料相談が受けられる探偵事務所の一覧をご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

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